絹について
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絹について

絹はあらゆる繊維の中で一番美しいと評される天然繊維です。この繊維に魅せられた人々は数千年も前からシルクロードと呼ばれる道を作っていきました。これは中国からヨーロッパへ絹が運ばれる道のことですが、荒い麻や羊毛しか知らなかったヨーロッパ人にとって、輝くばかりに色鮮やかな絹織物は、羨望の的になったようです。古代ローマでは同じ目方の金と取引されたと言われます。
最近では、絹に近い感覚の化学繊維が数多くなってきましたが、日本では高級な反物と言えば、紬、お召し、小紋、友禅など依然としてすべて絹物です。日本人の絹物に対する愛着がいかに強いかがわかります。ではなぜ、それほどまでに絹は尊ばれる良いものなのでしょうか.

絹の良さの特徴は、原料にされる繭糸(まゆいと)にあります

繭糸は天然繊維の中でも最も長い繊維を持っているため、多様な織り方が可能です。
織り方によって、たとえば羽二重と縮緬とではその風合いは、異なりますが、いずれも織られた生地は、柔らかく腰があり、吸湿性と放湿性に優れ、美しい光沢を放っています。
草木や化学染料のどちらにも染まりやすく
、また、染め上がった生地を着物に仕立て、実際に着てみると軽くて暖かいのが実感できます。

絹は、繊維その物が、熱を伝えにくい上に、精錬した糸や織物には空気がたくさん含まれています。そのため肌に触れると温かみを感じるのです。

絹の美しい光沢の秘密は・・・繭糸の構造にあります。
絹糸は、蚕が作り出したタンパク質でできた繊維ですが
その組織は、セリシン(にかわ質)とフィブロイン(繊維)の二重構造で、繊維の断面は、不均一な三角形になっています。
そのため、光が、あたった時に反射角度の違いによって、絹の独特の輝きが生まれてくるのです。

絹糸のの原料は、蚕の繭ですが、繭から糸をとる方法によりその呼び方は、異なります。

生糸(きいと)・・・繰糸機と呼ばれる機械や人の手で繭から直接糸をひいてを作った糸。
紬糸(つむぎいと)・・・真綿(繭を綿状に平らにのばした物)から手で紡いで作る糸。
絹紡糸(けんぼうし)・・・繰糸中にできた繭くずなどを用いた糸。

蚕の種類は、大別して二種類 「家蚕(かさん)」と「野蚕(やさん)」がある。

・家蚕は、室内の飼育に適するように改良された蚕で、桑の葉しか食べません。この繭で作った絹糸が一般的な絹糸です。
・野蚕は、野外でクヌギなどの葉を食べて育つもので、利用されるものには、「天蚕」と呼ばれるものがあります。天蚕糸とか山まゆとか呼ばれるものは、この蚕から紡いだ物です。

 *豆知識・・・二頭の蚕が、一つの繭を作った物を「玉繭」といい、2〜3%の割合で自然発生します。この繭糸は、二本の糸が絡むので、普通の糸より丈夫な糸ができるため、牛首紬や白山紬のような頑丈な紬織物の原料になっています。

絹は、殷の時代の古代の中国人が考えた物だと言われますが、4千年も前から養蚕がされていて、綾織りなど高度な絹織物が作られていたとは驚きです。昔の人は、よく蚕の吐き出す細い糸を集めて織物にすることを考えたものですね。

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